[第36回DM大賞 贈賞式直前企画]過去グランプリ入賞作品を振り返る③
第35回 金賞・グランプリ 広告主:リクルートマーケティングパートナーズ

2022年 3月16日

第36回全日本DM大賞は、3月18日(金)にオンライン映像配信にて、各賞を発表する贈賞式を行います。
そこで、直前企画として、「【事例で学ぶ】成功するDMの極意」から過去のグランプリ入賞作品をご紹介いたします。本記事をご覧いただきながら、贈賞式配信まで今しばらくお待ちください。

贈賞式の視聴はこちら
(3月18日(金)16時00分~配信となります)

「単語帳」と「鰹節」で労力・コスト削減をアピール

大企業に響いた2つの“スタサプENGLISH”DM

広告主:リクルートマーケティングパートナーズ 制作者:フュージョン ※記事内容(会社名称等)は、受賞当時のものです。

英語研修におけるムリ、ムダを人事担当者に気付いてもらい、「スタディサプリENGLISH」への切り替えでコストを削減できることを、「単語帳」と「鰹節」をモチーフにしたDMを制作し、箱型封筒で送付。意外性とインパクトを兼ね備えたDMは人事部長の気持ちを動かし、前回比45倍もの反響を実現させた。

[1信]単語帳DM

POINT1
人事責任者にとってのホンネを集めて自分ゴト化。

POINT2
サービス紹介冊子の文章は、英語まじりの軽いトーンにして押しつけがましさを軽減。

戦略性

たくさん届くDMの中からいかに手に取ってもらうか

リクルートが提供する「スタディサプリENGLISH法人サービス」は、TOEIC®テスト対策に必要な学習をいつでもどこでも、最短3分の隙間時間から続けられるプログラム。従来のアナログ型研修に比べて、大きくコスト削減ができ、日程や会場の調整も不要なうえ、管理も容易なのが大きなメリットだ。このサービスを知ってもらうべく、今回のDM施策では企業の人事部長あてに、「単語帳DM」と「鰹節DM」の2種類を4回に分けて送付した。

マーケティング方針および販促企画

送付先である人事部長のもとには役職柄、日頃たくさんのDMが届く。その中からいかに手に取ってもらい、内容に興味を持ってもらうかが課題だった。そこで、人事部長自身が当事者として共感でき、社内で回覧できるような話題性をも兼ね備えたクリエイティブを目指した。

販促企画

「スタディサプリENGLISH」のすべてのサービスが利用できる、期限付きデモIDのプレゼント。

ターゲティング/リスティング

従業員数が多い企業3800社の人事部長。

クリエイティブ

押しつけがましくなくサービスメリットを伝える

DMは、届いたときにサプライズ感のある箱型で送付。ブルーの箱には単語帳を模したツールを、桐の箱には鰹節のパックを収めた。

単語帳DM

アナログ学習の代表的ツールである単語帳を模した「ホンネの英単語」と題した冊子を制作。収録単語は英語研修の「担当者」と、研修を受ける「受講者」双方のホンネを集め、研修をデジタル教材に入れ替えると、双方にとってムダが省け効率化できることを伝えた。
例えば「tired」という単語では、「疲れた」という本来の意味とともに、「外勤終わって、これから研修かあ。もう疲れたし、会社に戻りたくないなあ。」という受講者のホンネを記載した。
同梱のサービス紹介冊子では、文章のテイストを「時間と労力のwasteを大幅に軽減。」「busyな御社にこそ、おすすめのアプリです。」のように、日本語の文章にあえて英語を盛り込み、軽いトーンにし、サービス紹介が押しつけがましくならないよう配慮している。

鰹節DM

「スタディサプリを導入すると、大幅にコスト削減可能」というメリットを訴求するのに用いたのは「鰹節」。採用した理由は、「コスト」と「鰹節」には「削る」という行為が共通していることから。そこで、桐箱に鰹節パック3個を入れて送付した。それぞれの鰹節パックには、コスト削減をテーマにしたオリジナル格言(「かつおとコストは削ってなんぼ。」など)を貼付。「格言」の意味を同梱した和紙製リーフレットで詳しく解説した。リーフレットには、鰹節の語呂にあわせて「武士」のイラストを載せ遊び心も演出した。

POINT3
「スタディサプリ」の焼き印を押した特注桐箱。特別感が漂い、捨てられにくい。

POINT4
コスト削減をテーマにしたオリジナル格言を貼付。

実施効果

約9割が従業員規模1000人以上の大手企業から受注

単語帳DM、鰹節DMの2種類を計3800社に送付。合わせて約170社、約4.5%の企業から資料請求があった。過去に実施したDMの資料請求率は0.1%で、前回比45倍の反響となった。しかも、資料請求があったおよそ170社のうち、70社以上から受注。大企業人事部との新規接点創出は営業上の大きな課題であったが、今回のDMによってそれが実現し、売上獲得に大きく貢献した。

「成約に至った企業は基本的に大手企業で、企業規模(従業員数)1000人以上が約9割を占めます。中には1万人以上の企業もあります。1回成約すると継続的にサービスを利用していただく傾向にありますので、今回のDMは営業的に大きな意味がありました」(リクルートマーケティングパートナーズ 平松志乃氏)。

今回のDMを送ったのは、同サービスをリリースして1年半というタイミング。事業としての成功パターンを構築している中での、新たな取り組みとなった。「従来のやり方にとらわれず、大きな枠組みで考え実施できたことも、効果につながったと考えています」(同社 加藤茂氏)。

この取り組みでDMの効果を実感した同社では、今後もDMを定期的に実施し、送付先も人事部長にとどまらず広げていくことを検討している。

POINT5
和紙製リーフレットでは、オリジナル格言の内容を解説し、コスト削減のコツを伝授。「鰹節」の語呂にあわせた「武士」のイラストを入れた。

審査委員講評

ターゲットの手元に届いたとき、見てもらえなければ後に続きません。単語帳DMと鰹節DMという2種類の立体的なDMを実施することにより、ターゲットに興味を抱かせ、大きな成果に結びつけた作品です。クリエイティブや訴求内容が高く評価されました。

恩藏直人

昨今のタクシー広告を見るまでもなく、BtoB広告はBtoC広告に比べると、効果効率中心のメッセージをシンボリックに記憶に刷り込むという似通ったアプローチになりがちです。人事系へのアプローチはなおさらだと思います。そんな中、無味乾燥なオフィスに無理やり笑いをもたらそうとするサービス精神と、おバカなことを全力でやる心意気が、大企業の人事担当者に訴えかけるビジネス効果を生んでいます。DMの原点は手紙でありギフト。送り手の本気や思いが伝わる人間対人間のメディアであることを証明してくれていると思います。

木村健太郎

大判はがきから思い切って2信で5000円にもなる予算を投下した勇気を称えたい。BtoCの延長的なものも多い法人向けDMだが、単価の高い商品にふさわしいプログラムはどのようなものか、そのお手本です。

椎名昌彦

DM診断

ここが秀逸!

今年はコロナ禍で対人営業ができないこともあり、BtoBのDMが非常に目立った。その中でも2信構成のかなり手の込んだDMで、クリエイティブ面でもユーモアを交えるなど、単なるメリットの提案を超えている。以前も同様のプログラムを大判ハガキで行っていたが、今回はプログラムをリニューアルし、コストも前回に比べて20倍ほどかけてつくり込んだ。コストを上げるのは非常に勇気が要ることだったと推測されるが、結果として資料請求率は40倍に。2020年のDMは大判のゆうメールなどで手軽に送るのが主流だったが、しっかりと考えてつくり込めば、それ相応の成果が得られることを証明した。

出典:株式会社宣伝会議、日本郵便株式会社 (2021) 【事例で学ぶ】成功するDMの極意 全日本DM大賞年鑑2021

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