[第36回DM大賞 贈賞式直前企画]過去グランプリ入賞作品を振り返る②
第34回 金賞・グランプリ 広告主:東京個別指導学院

2022年 3月15日

第36回全日本DM大賞は、3月18日(金)にオンライン映像配信にて、各賞を発表する贈賞式を行います。
そこで、直前企画として、「【事例で学ぶ】成功するDMの極意」から過去のグランプリ入賞作品をご紹介いたします。本記事をご覧いただきながら、贈賞式配信まで今しばらくお待ちください。

贈賞式の視聴はこちら
(3月18日(金)16時00分~配信となります)

保護者のエンゲージメントアップで子どもの兄弟・友人の紹介を動機付け

親子の会話で絆を深める 『受験生の母子手帳DM』

広告主:東京個別指導学院 制作者:フュージョン ※記事内容(会社名称等)は、受賞当時のものです。

親の愛情の象徴とも言える「母子手帳」をベースにデザインしたことで、勉強面の指導だけでなく、通塾生の成長を大切にする塾の姿勢が伝わり、兄弟や友人の入塾紹介への大きな動機付けが生まれた。入塾率は、通常の施策に比べておよそ2倍となった。

POINT1
心を込めたお手紙を演出すべく来春の受験合格への願掛けの意味を込めて、あえて慶事用の切手を手貼りで郵送した。

POINT2
親子コミュニケーションがうまくいかないときは、解決するための方法として塾の活用があることを伝えた。

戦略性

入塾後3か月内の保護者に向けてエンゲージメントを高める

通塾している子どもの保護者に、子どもの友人や兄弟を紹介してもらい、入塾につなげるのが目的。

マーケティング方針および販促企画

①子どもや保護者に「この塾に入ってよかった!」と感じてもらい、塾での学習モチベーションアップにつなげる。
②受験生である子どもとのコミュニケーションに課題を感じている保護者に、困ったときの相談先として塾を想起してもらう。
③保護者が子どもと向き合うきっかけを作り、塾へのエンゲージメントを高めてもらう。
④親同士や子どものコミュニティにおける塾の評価の拡散や、子どもの兄弟・友人の入塾検討につなげる。

販促企画

紹介された子どもの「無料学習相談会」および「無料体験授業」。紹介してくれた保護者には、5000円金券をプレゼント。

ターゲティング/リスティング

入塾後3か月以内の受験生の保護者。「3か月以内」という時期は、担当する先生が決まって学習方針も固まり、学習へのモチベーションが高まるタイミングであり、紹介が発生しやすいことが、これまでのリサーチで分かっていたため。

クリエイティブ

DMに書き込みながら親子コミュニケーションを促す

勉強面の指導だけでなく、子どもの成長を大切に考えている塾の姿勢を伝えるため、「母子手帳」のスタイルを模して作った。「母子手帳」は子どもの成長を見守る象徴的なもの。DMのコンセプトを「母子手帳」にすることで、塾の姿勢を保護者の気持ちに響くように伝えることができた。
「母子手帳」は、表紙を開くと見開きで、子どもの成長記録(志望校、得意科目、最近の興味関心事、いつもがんばっていることなど)と、長所を書き込むようになっている。記入を通して、保護者に子どもと向き合うきっかけを作ってもらおうという狙いだ。
親子コミュニケーションの大事なポイントや、子どもをほめたり認めたりするときのコツをまとめた。さらにページをめくると、コミュニケーションがうまくいかないときに、解決するための方法として塾の活用があることを伝えた。「このように①親子コミュニケーションのきっかけを与える→②難しさを実感させる→③解決方法を伝える、というストーリーを構築し、塾へのエンゲージメントを高めました」(東京個別指導学院 マーケティング部 高山卓嗣氏)

POINT3
子どもの友人や兄弟に手渡しでき、「無料学習相談会」および「無料体験授業」が受けられるチケットを同梱。

POINT4
志望校、得意科目、最近の興味関心事などの子どもの成長記録や長所を書き込むページ。記入を通して、受験期になると難しくなりがちな親子コミュニケーションのきっかけづくりを促した。

POINT5
親子コミュニケーションにおいて大切なポイントや、子どもをほめたり認めたりするときのコツをまとめた。

実施効果

入塾率は通常の2倍
塾の姿勢を理解した上で問い合わせ

入塾率は通常の施策に比べておよそ2倍、その一方で1人当たりの獲得コストは通常時の約3割で済んだ。「入塾している子どもの保護者に向けて、エンゲージメントを高めるための施策は、これまで十分にはできていなかった面がありましたから、今回は大きな意義があったと考えています」(同部 中島圭太氏)

紹介を全面的に打ち出したDM展開も今回が初めてだったが、広告などほかの媒体経由に比べ、塾の姿勢や受験生への手厚いサポートなどをある程度分かった上での問い合わせが多く、“質”がとてもよかったという。

同社マーケティング部はマス広告などを主に手掛け、保護者とのコミュニケーションは各教室が行うことが多い。今回のDMは、同部が実施する施策内容について、見つめ直すきっかけになった。

「今回チャレンジしてみて、社内にあるリストを活用してできるマーケティング施策は、まだまだあると改めて気付きました。今回のDMを起点に、新たな施策に取り組んでいく考えです」(同部 笹嶋理恵子氏)

審査委員講評

母子の絆を連想させる「母子手帳」を取り上げた、受験生を持つ家族に寄り添ったDMです。親子のコミュニケーション機会を創出し、兄弟や友人の紹介を生み出すなど、塾とのエンゲージメントの引き上げに成功しています。

恩藏直人

このDMはズルい!もちろん、誉め言葉としてのそれですが。「母子手帳」というコンセプトをコアとして、受験生の子を持つ親の漠然とした不安、親としてこれでいいのかという葛藤に対し、安心を与えてくれる。わが子と共に受験という荒波に立ち向かうための「お守り」に感じました。正直に言って、わが子が受験生の間に、このDMに出会いたかった。受け取った人の「こころ、震わせた」DMだったのではないでしょうか。

大角聡

DMのメディア特性をしっかり捉えて活かしており、決裁者である両親に共感を呼び、顧客とのコミュ二ケーションが図れています。友達紹介という難しい施策の成功事例としても素晴らしいと思います。特に、態度変容を2段階で起こせています。クリエイティブも母子手帳のような見せ方でシンプルで手に取りやすくわかりやすいです。

藤原尚也

DM診断

ここが秀逸!

親の関与度を上げることがポイントとなる塾のDMで、母子手帳というアイデアが高く評価された。塾の集客施策では、無料体験や授業料の割引といったキャンペーンがありがちだが、母子手帳というアイデアを取り入れることで、子どものことをきちんと考えている塾だと認識させることができている。実際にこの母子手帳に記入してみると、子どもの教育について意識化できる点もポイントが高い。親を関与させる仕組みとして非常に新しく、実際にワークしているところがすばらしい。

出典:株式会社宣伝会議、日本郵便株式会社 (2020) 【事例で学ぶ】成功するDMの極意 全日本DM大賞年鑑2020

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