REPORT Vol.24 エントリーシート書き方の必勝法④

2022年10月 7日

第36回 全日本DM大賞 受賞企業のエントリーシートを徹底解説します

最終審査委員を務める、マーケティングコンサルタントの明石智子氏、株式会社売れるネット広告社代表取締役社長CEOの加藤公一レオ氏が、受賞企業のエントリーシートを徹底解説。第4弾となる今回は、銅賞を受賞した横浜信用金庫(制作者:株式会社ガリバー)のDMにスポットを当て、書き方のコツや加点ポイントをお伝えします。

銅賞受賞!コロナ禍で苦戦する地域全体に貢献する横浜信用金庫のDM
感謝!応援!地域まるごと活性化DM!

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STEP1「実施概要」の書き方

明石氏: 「作品名」では、コロナ禍で生じた地域の課題を集約して解決しようとしたことが、「感謝」「地元応援」「地域活性化」という3つのキーワードから分かりやすく伝わってきます。「実施概要」には、コロナ禍で例年と同様の施策ができなくなってしまったという課題と、感謝の気持ちを伝えたい、おうち時間を楽しんでもらいたいという目的がきちんと書かれています。地域を巻き込むために苦労したことも書かれており、それが本当にそうだったのだろうなと伝わってきて心に刺さりました。店舗数やLINEの友だち登録数など、数字もいくつか記載していただいていますが、「プレゼントへの反響も大きく、多くの方に来店いただけた」という部分ももう少し詳しく記載し、のちの「DMにより得られた効果」に書かれている結果をチラ見せするといいでしょう。

加藤氏: 「作品名」からは、コロナ禍だからこそ1to1のDMにチャンスがあることが伝わってきますが、もっと独自性を出し、信用金庫がチームつくって実施したことをイメージさせる言葉を使うと、さらに良かったですね。「ターゲット」では、もっとペルソナを深堀りし、たとえば神奈川県全域に住む女性、年収は何万以上などと具体的に記載した方が伝わりやすくなります。「実施概要」以下すべての記述項目に言えることですが、結論から書きましょう。よくできているDMやチラシ、LPのように、「キャッチコピー→見出し→本文→見出し→本文」という構成で書くと読みやすくなります。それ以外は、DMを見ている審査員に情報を補完していく流れになっていて、とても良いですね。

STEP2「実施効果(定量・定性)」の書き方

※非公開情報にはモザイク処理を加えております。

明石氏: 「費用項目」にはWeb作成費も入れていただいていますが、これを費用に含めると、本来よりもDMの効果が低く見えてしまいます。そのため、費用はDMの企画・制作・発送など、直接DMに関連するもののみを含めて計算するといいでしょう。「DMにより得られた効果」では、現在の記載内容に加えて、「実施概要」にある「会員・飲食店・広告主がwin・win・winになったDM」を受けて、「会員・飲食店・広告主」の三者がそれぞれどのような効果を得られたのかというリアルな声があると、より印象が良くなるのではと思います。

加藤氏: 「実施効果」では売上が0円となっていますが、飲食店には顧客単価があるので、間接的にどれくらいの売上につながったかを計算して記載すべきです。僕は普段からデジタルに触れているので、数値化できるのに努力していないと、評価は上がりません。これを審査した際も、実施効果に対する僕の評価はゼロに近かったと思います。

STEP3「マーケティング戦略」の書き方

明石氏: 「マーケティング戦略」からは、地域活性化に力点を置いたことや、年金受給者の運動不足を解消する狙いも含めて施策内容を考えたことが伝わってきます。これに加えて、例年実施していた旅行ツアーや観劇会ツアーができないという課題を受け、それをどのように解決したいと考えて今回の施策につなげていったのかということが、もう一言二言書かれているとより伝わったかなと思います。

加藤氏: 「コロナ禍で苦しむ人たちを助けたい」というのも一つの目的かもしれませんが、よく聞かれる綺麗事だけでなく、実際のビジネス構造も書いてほしいと思います。このDMの背景にあるのはおそらく、自社の個人顧客を自社の法人顧客の店舗に送って売上を向上させ、最終的には返済リスクを減らしていこうという戦略です。ここでは、そういった全体の構造や思惑を書いた方が、より伝わる内容になります。

STEP4「クリエイティブ」の書き方

明石氏: 毎年DMを送っているということで、「一体型DM」にしたのは今回に限って行った工夫なのか、そうだとしたら前回まではどのようなDMで、どのようにブラッシュアップしたのかということがもっと知りたいですね。前回と比較することで、より今回の効果が伝わりやすくなりますから。

加藤氏: 「クリエイティブ」と一言で言っても、DMの形態や構造、デザイン、ライティングなど、いくつかあります。ここではDMの形態にのみ言及していますが、なるべくデザインやライティングで工夫したことについても説明してほしいと思います。

STEP5「その他」で補足するとよい情報の書き方

明石氏: 「クロスメディア」はシンプルな記載になってしまっているので、もっと詳しく書いていただけると良いですね。この場合は、LINEの友だち登録につなげるためのゲームだと思うのですが、どのようなゲームを用意したのか、その結果がどうだったのか、なぜ多くの友だち登録につながったのかといった理由まで含めて書いてほしいと思います。

加藤氏: 「その他」は、とても良い説明ですね。「その他」には、DMを活用する理由として「デジタル疲れになっている」とありますが、まさにその通りで納得感があります。マーケティング戦略などの欄にもこういった話が含まれていると説得力が増し、より審査員の心を掴むものになったのではと思います。

まとめ

横浜信用金庫のエントリーシートでは、「課題と目的がきちんと記載されている点」、「実施概要が、情報を補完していく流れで記載されている点」、「解決したい課題に対して、なぜDMというメディアを採用したのかという理由が記載されており、実施内容に納得感がある点」が特に評価されていました。
これから応募予定の皆様は、エントリーシート記入の際にご活用ください。

第37回 全日本DM大賞について

第37回 全日本DM大賞は、2022年10月31日(当日消印有効)まで作品募集中です。 詳細は、応募概要をご確認ください。

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