REPORT Vol.23 エントリーシート書き方の必勝法③

2022年10月 3日

第36回 全日本DM大賞 受賞企業のエントリーシートを徹底解説します

最終審査委員を務める、マーケティングコンサルタントの明石智子氏、株式会社売れるネット広告社代表取締役社長CEOの加藤公一レオ氏が、受賞企業のエントリーシートを徹底解説。第3弾となる今回は、銅賞を受賞した株式会社十八親和銀行(制作者:トッパン・フォームズ株式会社)のDMにスポットを当て、書き方のコツや加点ポイントをお伝えします。

銅賞受賞!カード型ツールでローン増枠申込みを獲得した十八親和銀行
2回はがして924%!ローン増枠特典認知促進DM

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STEP1「実施概要」の書き方

明石氏: 「作品名」は、まさにこのシートでアピールしたいことが言い表されていて良いですね。「実施概要」では、これまでの課題や、どのように今回のDM施策を着想したか、DM制作で工夫した点、その成果が明記されています。特に成果については、1,257件の増枠申込み、直近のDMとの対比で「924%」、「Web:コール=3:1」というクロスチャネルの成功と、ズバリ数値をアピールしていただいているところが強い引きになっていますし、カードの携帯性によってDMの効果が長く続いたということもアピールになっています。

加藤氏: 「作品名」の「2回はがして924%」という文言は、読み手に「何だろう」と思わせて先を焦らすことができているので、良いですね。「ターゲット」は、もっと詳しく、具体的に書きましょう。「実施概要」は、課題から書き出すのではなく、結論から書いた方が分かりやすく伝わります。また、ここでタイトルの「924%」の回答が示されているのはいいのですが、タイトルにしているくらいなのだからもっと強調した方がいい。僕ならアピールカッコを付けて、最重要であることを視覚的にも訴えます。

STEP2「実施効果(定量・定性)」の書き方

※非公開情報にはモザイク処理を加えております。

明石氏: 「実施経費」には、この「費用項目」にあるように、宛名の印字も含めて記載いただきたいと思います。「DMにより得られた効果、お客さまの声」では、カード型にしたことで成果が上がったということがしっかり書き込まれていていいですね。また、「増枠をお申込みの上、ローンをご利用されたお客さまも多くいた」という記載からは、マーケティングの成果として実際の売上にもつながったことが分かるようになっています。

加藤氏: この成果から算出できるROAS※は驚くほど良いので、絶対にこの「実施効果」に記載すべきです。「DMにより得られた効果、お客さまの声」も、定性面だけでなく、その感想を誰が述べたのか、何人から聞かれたのかという定量面もあわせて伝えてほしいと思います。

※ROAS(Return On Advertising Spend):広告の費用対効果

STEP3「マーケティング戦略」の書き方

明石氏: ここでは、課題について、「実施概要」の内容よりも一歩掘り下げて書いていただいていますね。また、カードの特性を生かした戦略のメリットを改めて分かりやすくまとめ直し、商品名と掛け合わせてうまく工夫したことを伝えています。

加藤氏: 記述式の項目すべてに当てはまることですが、結論を先に書いてほしいと思います。僕なら、たとえばこの場合は「いつでも24時間365日持ち歩くDM」といったキャッチコピーをつくって、冒頭に入れますね。

STEP4「クリエイティブ」の書き方

明石氏: せっかくDMを開封してもらっても机の上に置いたまま忘れられるという、ありがちな課題も含め、最終的な申込みまでどのようにアクションさせるかという工夫にしっかりと触れています。また、特に金融商品はうまく訴求しなければ理解してもらいにくいという課題がある中で、増枠のメリットや商品特性の伝え方もブラッシュアップしたことがアピールできています。加工の際の苦労話も書かれていますが、実際に加工がうまくいかなければクレームの原因になることもあるので、そこにもきちんと気を配ってやり切っているところが素晴らしいと感じます。このように、これまでにない新しいDMにチャレンジしたからこその苦労があれば、それも書き込むといいと思います。

加藤氏: ここは、審査員がDMを読んでいく順番に従って、情報を補完できるように書いていくことが理想ですね。

STEP5「その他」で補足するとよい情報の書き方

明石氏: 「クロスメディア」では、「クロスメディアではありませんが」と書かれていますが、Webに誘導しているので、クロスメディアだと言っていいでしょう。ここでは、「ハガキより携帯性の良いカードとスマホさえあれば申込みできる環境を整えた」という一文で、メディアにアクセスする前の工夫が伝えられています。また、紙からWebに誘導するというクロスチャネルの結果、どのようなシナジー効果があったかが具体的な件数とともに書かれています。このように、具体的な成果と、その理由まで書き込まれているといいですね。

加藤氏: 「その他」には、「正確な伝達が難しい金融商品の説明には、紙のDMが有効」と、DMを利用する理由が書かれていていいですね。もう少し、なぜ有効なのかということを深堀りして書くと、もっと良かったなと思います。

まとめ

株式会社十八親和銀行のエントリーシートでは、「作品名でDMのアピールポイントが端的に表現されている点」、「数値情報を元に、直近のDMとの対比がわかりやすくまとめられている点」、「課題解決のために何故DMを選んだかの根拠が記載されている点」が特に評価されていました。
これから応募予定の皆様は、エントリーシート記入の際にご活用ください。

第37回 全日本DM大賞について

第37回 全日本DM大賞は、2022年10月31日(当日消印有効)まで作品募集中です。 詳細は、応募概要をご確認ください。

エントリーシート書き方の必勝法

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