REPORT Vol.21 エントリーシート書き方の必勝法①

2022年 9月20日

第36回 全日本DM大賞 受賞企業のエントリーシートを徹底解説します

最終審査委員を務める、マーケティングコンサルタントの明石智子氏、株式会社売れるネット広告社代表取締役社長CEOの加藤公一レオ氏が、受賞企業のエントリーシートを徹底解説。今回は、銀賞を受賞した常磐興産株式会社のDMにスポットを当て、書き方のコツや加点ポイントをお伝えします。

銀賞受賞!DMで旅行への罪悪感を払拭し、予約者数が前年の約5倍に
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STEP1「実施概要」の書き方

明石氏: まず、「作品名」では、審査員に何をアピールしたいのかが端的に分かることが重要だと考えています。この作品名には、このDMの狙いがエッセンスとして盛り込まれていていいですね。「実施概要」では、「コロナ禍で海外旅行に行くことが叶わない」という課題と、「旅行を思い出に残すためのDM」という狙いがしっかりと書かれています。また、「日本のハワイに渡航した気分になってもらう」というコンセプトも明示されており、それに対するクリエイティブ表現やストーリーが解説されています。ストーリーのシナリオも明快で、審査員がどこに注目して見ればいいのかが分かりやすくガイドされています。

加藤氏: まず、全ての書き方の基本として、項目が2つ以上あるときは箇条書きにしましょう。「実施概要」には、DMが自社でどのような役割を担っているのかをしっかり書き込んでください。「ターゲット」ももっと具体的に、たとえば「関東圏に住む30代のサラリーマン家族」といったように、どのようなファミリーなのかというペルソナを書きましょう。

STEP2「実施効果(定量・定性)」の書き方

明石氏: 数字が記載されていないケースも見受けられますが、実施効果も審査の重要なポイントになりますので、シートに記載のある項目は最低限開示していただけるとありがたいですね。「費用項目」は「印刷費、スタンプ代、プレゼント(メモ帳)」のみとなっていますが、制作費や郵送費など、DMの企画制作から発送までのすべての工程にかかった費用を含めてほしいと思います。「DMにより得られた効果」は、過去と比較してどうだったのかが記載されているところが良いですね。何かと比較した定量的な情報を入れていただけると、効果がより伝わってきます。また、SNSの投稿にもつながった旨の記載があることで、DMの効果の広がりも伝わります。

加藤氏: シートの項目にはありませんが、ROAS(費用対効果)の数値情報は絶対に入れてほしいと思います。DMの成果として、最も分かりやすい指標がROASなので、その数値が良ければ審査の大きなアピールポイントになります。

STEP3「マーケティング戦略」の書き方

明石氏: 解決したかった課題と、それに対してどのような戦略を考えたか、そしてその結果がしっかりと書かれています。「マーケティング戦略」では、まさにその3点を書き込んでほしいと思います。それに加えて、この場合は「価格訴求よりも、良い旅行の思い出を提供する」という企業の思いも伝わってきます。

加藤氏: どの項目にも言えることですが、結論から先に書きましょう。この場合は、「読むDMではなく使えるDMにすることを基本戦略とした」という結論から書き出します。そのあとに、なぜなら…という形で課題や解決策を書いていくと、分かりやすく伝わります。

STEP4「クリエイティブ」の書き方

明石氏: 「日本のハワイ」というコンセプトに沿って、それを伝えるためにクリエイティブをどのように工夫したかが書かれていて良いですね。「実施概要」の方にはターゲットにどのような行動を促すかというシナリオが詳しく書かれていたので、ここではまた違った視点でメッセージ動画について紹介しているのかなと思いますが、いずれにせよコンセプトに沿った工夫が書かれていて良いと思います。

加藤氏: とても良い書き方ですね。DMに目を通していく順番に沿うように説明がなされており、審査員が理解しやすくなっています。審査は、実際のDMを見ながら、エントリーシートで補足説明を得るという形で進んでいきます。審査時間が限られている中で、 どこに要点があるのかが分かりやすく示されていると、作品に対する理解が深めた状態で審査が行いやすくなります。

STEP5「その他」で補足するとよい情報の書き方

明石氏: 「クロスメディア」には特に記載がありませんが、「クリエイティブ」の項目に書かれていた「メッセージ動画」を記入してもらえるとよかったのかなと思います。クロスメディアには、ウェブサイトや電話、メールなど様々なものがありますが、そういったものも含めて立体的に施策を設計することが理想です。審査でも重要なポイントになりますので、ぜひ記入していただきたいですね。

加藤氏: 「その他」の項は、なぜDMでなければならなかったのかという視点で書いてほしいと思います。DMには、たとえばエリア性がある、1to1で届けられる、手元に残るなど、様々な強みがあります。世の中にはインターネットやテレビCM、新聞、折込チラシなど、多くの媒体がありますが、その中であえてDMを選んだ理由を明確にし、DMのすごさをアピールしてほしいと思っています。

まとめ

常磐興産株式会社のエントリーシートでは、「解決したかった課題と、それに対してどのような戦略を考えたか、そしてその結果がしっかりと書かれている点」と 「DMに目を通していく順番に沿うように説明がなされており、審査員がどこに注目して見ればいいのかが分かりやすくガイドされている点」が特に評価されていました。
これから応募予定の皆様は、エントリーシート記入の際にご活用ください。

第37回 全日本DM大賞について

第37回 全日本DM大賞は、2022年10月31日(当日消印有効)まで作品募集中です。 詳細は、応募概要をご確認ください。

エントリーシート書き方の必勝法

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