REPORT Vol.5

「何よりも、美味しい明太子を食べてほしい」
変わらぬ思いが届ける、心尽くしのDM

――ぶれない姿勢を生んだ「ふくや」の歴史


株式会社ふくや
マーケティング部 販売促進課 課長 兼 お客様サービス室 室長
松原 佐由美 氏


株式会社ふくや
営業部 ダイレクトマーケティング課 課長
平尾 光啓 氏

ふくやの創業は昭和23年10月5日。創業者は川原俊夫、千鶴子夫妻です。当初、二人は韓国で暮らしていました。俊夫は太平洋戦争に出兵することになり、戦地でどうにか生き残り、一方の千鶴子は、大変な苦労の末に引き上げ船で福岡に戻ってきたといいます。

福岡の地に帰ってきた二人はこの地に根をおろし、「これからは人のために生きよう」と決意しました。そして、焼野原だった中洲の商店街区画に食料品店を構えたのが「ふくや」の始まりです。

お店を始めたものの、なかなか看板商品になるものが見つからない。そんな中、韓国で食べた「明卵漬」の味を思い出したといいます。「あれはとても美味しかった。ああいうものを店でも出そうよ」となったそうです。

しかし、そのままの明卵漬では日本人に辛すぎたので漬込式の味付を開発。

そうして、納得のいくものが出来上がったのが翌年の昭和24年。「味の明太子」という商標でお店に並べたのが現在の商品のルーツです。試行錯誤して今の味にたどり着くまで、10年かかったと聞いています。俊夫社長がいろんな会合に顔を出す際に「食べてみんしゃい」と皆にふるまった。それが評判を呼んで今のような規模の商品にまで成長したのです。

当時はいろいろな人から「製法特許を取りなさい」というアドバイスがあったらしいのですが、俊夫社長は「惣菜だからいろんな味があっていい。」ということで、希望者には仕入れ先まで教えたといいます。
そうして多くのメーカーが生まれ、様々な明太子が出来た。そこから福岡の名産品になり、全国に普及していったのです。

「明太子」は店頭販売が中心です。ただ、遠方から来た方が「地元で食べたいから現金書留で送ってよ」ということが昔からあったそうです。でも、当時は日持ちしないので県外への発送はできませんでした。

その後、航空便ができたことが全国発送へとつながりました。おそらく弊社はどこよりも早くクール便に近いスタイルを始めたと思います。その後は新幹線の乗り入れによって市場が広がり、注文もどんどん増えました。

私たちは何よりも、お客さまに美味しい明太子を沢山食べていただきたい。だから、質の良い原料を使い、価格も含め、お客様が安心して手にとっていただける商品づくりを努力してきました。

現在、店舗数は38店舗ありますが、東京の2店舗以外はほぼ福岡県内の出店です。東京支店も福岡で買い忘れた人のためにつくったお店なので、出張所のような感覚です。工場も福岡のみですから、「福岡で買えることに価値がある」という経営方針は今もぶれていません。

「漫画 博多明太子物語」
ふくやのホームページでは創業者・川原俊夫氏の生涯と、ふくや・明太子の歴史を漫画で公開している。

――一通のDMに込めた、お客さまへの思い

私たちの商売の基本は、「店舗での接客ありき」だと思っています。店舗ではお客様がご来店されたとき、お茶をお出しします。せっかく来ていただいたからにはリラックスしていただきたい。例えば、夏にはおしぼりや塩あめのサービスも行います。

落ち込んだ方がいらした時、千鶴子社長のひらめきで茶柱が立つまで淹れ続けたこともあります。そして「あなた、茶柱が立っているからいいことありますよ」と声をかけたら「それならひとつ、頑張ってみるわ!」と言って帰られた。

そんな風に、接客一つでお客様を勇気づけることもできます。そうした思いがあるから、我々は店舗でのより良い接客を目指すのです。ですから当然、DMにもその思いは込められなければいけません。

店舗にはお客さまが大勢いらっしゃいますので、当然「重いから送ってほしい」というオーダーも入ります。そこで商品を発送したお客様の連絡先はデータベース化され、現在の顧客リストになっています。広告宣伝費をかけて新規を取るのではなく、実店舗でのお買い上げ実績がある方にDMを送付してリピート購入を促す。それが弊社の成長モデルです。

特に来店される方はお土産やご贈答の注文が多いので、その際「来年もいかがですか?」という内容のDMをお送りします。最初は郵送コストを抑えるために小さなものから始めたのですが、今ではA4サイズまで展開するまでになりました。

「ふくや」の商品は明太子だけでもすごい種類があります。最近では明太子の缶詰にまで幅を広げているので、DMによる新商品のご案内やお中元、お歳暮などのギフトシーン提案も重要になります。

商品のお届け先も、今までの贈り先の住所録をリスト化して同封するサービスを行っておりますので「昨年はこの人に送ったね」と、注文しやすい環境づくりを心がけています。

――店舗・DM・コールセンターによる、密な連携

店舗の顧客リストは1985年ぐらいからありますから、高齢の方も非常に多いです。高齢化が進むとなかなかお店に足を運ぶことができなくなりますので、そういった方々への接遇自体が年々難しくなっています。

Webの情報だけではオペレーションも含めてどうしても見ていただきにくいので、DMのように手にとって見られる紙媒体には価値があります。ただ、注釈を入れてもご覧にならないですし、スペース上載せられない情報もあります。DMだけではなかなか分かっていただけないことも多いのですが、そこをコールセンターでの丁寧な説明で対応をするようにしています。

こうした状況でDMをどう改善していくのかが現在の課題でもあります。

DMによる通販のお問い合わせ先はフリーダイヤルですが、お店と変わらない接客で嬉しかった、という声をいただきます。通販を行う側からすると、店舗は「記憶の接客」で、コールセンターは「記録の接客」です。しかし、私たちは電話でも店舗と同様の接客を心がけています。コールセンターはマニュアルを見ながら話せばいいと思いがちですが、実は一番そこに気を遣っています。

また、DMと同様に紙媒体で大事になるのがカタログです。カタログの発送数とそこからの注文数をいかに増やせるか、そこに力を入れています。
通販のお申し込み時には必ず「カタログを送っていいですか?」とお伺いします。そこで「いらない」と言われても、最初の商品が届いた頃にまた「いかがですか?」とお電話を差し上げる。直接お電話すれば「無事に届きましたか?実は冷凍もできますよ」というご案内が出来ますし、そこからお話が盛り上がって「じゃあカタログ送ってよ」となることもあります。

そうした地道なアフターケアとその先にあるカタログのご紹介。店舗、DM、コールセンターが密接に連携することで弊社のお客さま対応は成り立っています。

今後もお客さまの年齢や状況により、店舗や通販の活用方法は変化していくと思います。そういうご利用法の違いをきちんと共有しながら、お客様のご都合によって使い分けていただく。これからもそうした多様なアクセスにご対応できる体制を整えていきたいと考えています。

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